協賛企業の支援により可能性を広げて飛躍へ!小牧工科高等学校

協賛企業の支援により可能性を広げて飛躍へ! 支援事例
協賛企業の支援により可能性を広げて飛躍へ!

このページでは、こまき新産業振興センターが行った市内企業様デジタル化支援の事例を、紹介しています。第三回目は、小牧工科高等学校eスポーツ班へ市内の企業様より協賛を募った経緯をインタビュー形式にまとめています。

小牧工科高等学校コンピュータ制御部eスポーツ班

令和 3(2021)年 4 月に、小牧工業高等学校から校名を変更した「小牧工科高等学校」。情報技術科を情報デザイン科へ改称し、環境科学科を新設、生活関連科目を履修するための「生活コース」の設置、制服のリニューアルなど、時代の流れに即して、男女問わず学びやすい学校へと進化しています。

また部活動では、e スポーツ競技に取り組む「e スポーツ部」にあたる、「コンピュータ制御部 e スポーツ班」を、県内でいち早く設置しました。(※「e スポーツ」とは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、ゲームを使った競技やスポーツの対戦を、スポーツ競技として捉える際の名称)

協賛企業の支援により可能性を広げて飛躍へ!

小牧工科高等学校 コンピュータ制御部 e スポーツ班 新高校 3 年生の メンバー。スポンサーである小牧市の企業のロゴ入り T シャツを着てポーズ!

校名変更後の 12 月、セガ主催『高校 e スポーツ部応援プロジェクト 「ぷよぷよフューチャーカップ」第 2 回大会』で、全国優勝という快挙を成し遂げた小牧工科高等学校コンピュータ制御部 e スポーツ班。

2022 年春、資金繰りに関して、前任の顧問の先生からこまき新産業振興センターへご相談いただきました。そこでセンターを介して、小牧市内の企業様へ、1 口 1 万円以上からの協賛を募ることにし、メールマガジンでご依頼したところ、約 20 社からご支援をいただくことができました。そして 2022 年末に、スポンサー名が入った T シャツが完成。コンピュータ制御部のメンバーに、喜びの声と現在の活動内容、将来について聞きました。

大会や広報活動で着用して団結力を高めるというスポンサー企業名 入りの T シャツ。前後で違うスポンサーの名前が入ったデザイン

この日、部員たちが 4 台の PC で取り組んでいたゲームは、右から 「バロラント」が 2 名、「ロケットリーグ」が 1 名、「ぷよぷよ」が 1 名。「e スポーツ班」と「レゴロボット班」を掛け持ちするメンバーもいる

コンピュータ制御部の「e スポーツ班」と「レゴロボット班」をまとめる部長で、情報デザイン科 3 年生の木全陸くん。プライベートでは邦楽ロックが好きで、野外フェスにも参加するというアクティブ派

 

 

e スポーツで、「誰もが主人公」を目指していく

—初めに自己紹介と、「コンピュータ制御部 e スポーツ班」の活動内容について教えてください。

2023 年 4 月から新 3 年生になる、部長の木全陸(きまた りく)です。コンピュータ制御部は、「e スポーツ班」と「レゴロボット班」に分かれ、それぞれ競技大会に出場するために、授業後、毎日練習に取り組んでいます。各自が実践的な技能士となることを目指し、「若年者ものづくり競技大会」や、「技能五輪」にも出場できるよう、各種の資格を取得するために、部活動中に資格の勉強も頑張っています。現在は 40 名ほどが登録していますが、毎日顔を出すメンバーは、新 3 年生である僕たちを中心に 10 人くらいです。家でもオンラインで競技できるので、部室には来ていないけれど、部活動に参加しているという人もいます。e スポーツの大会には、年間 15 回以出場しています。

—活動費の予算が、運動部に比べて取りにくいと聞いています。スポンサー企業様からのご支援はどのような活動内容に使われていますか。

e スポーツに取り組む上で、まず、機材がないと何もできません。今回スポンサー企業様にご支援いただいたことで、競技の可能性が広がりました。応援していただける環境にとても感謝しています。

情報基礎実習室と兼ねた部室に、4 台のゲーミング PC(PC ゲームを楽しむためのパソコン)が設置されています。3 台が「ガレリア」というメーカーのもので、1 台はそれぞれ違うメーカーからパーツを取り寄せて、自分たちで組み立てたものです。最新のゲームは要求性能が高まっていることから、それに対応できるパソコンでないと、いわゆる「処理が重い」という状態になってしまい、競技しにくくなります。

2020 年にスタートした「e スポーツ班」ですが、昨年、使っていたゲーミング PC3 台のレンタル期限が終了することになり、活動の危機に迫られたことで、スポンサー企業様を募った経緯があります。ご支援金で、「ガレリア」3 台の買取りと、各メーカーのパーツを組み立てた 1 台を追加することで、危機を脱し、新たに増えた部員にも対応することができました。ほかに、Nintendo Switch を 2 台購入し、コントローラーも手配中です。おかげさまで、使用している回線のスピードもとても速いです。まだお金が残っているので、今後も顧問の先生と使い道を相談して、大切に使わせていただきます。

右から 3 台は「ガレリア」のゲーミング PC。プロのゲーミングチームも使用している本格的なメーカー

—e スポーツのやりがいや魅力とは、どんなところでしょうか。

僕が思うには、e スポーツは「誰もが主人公になることができる」ところが魅力だと思います。高校の部活動でチームスポーツなので、運動部に例えますね。サッカー部やバスケットボール部であれば、どうしても、レギュラーに選ばれる人とそうでない人がいると思います。でも e スポーツなら、身体的な能力や年齢、性別なども関係なく、自分が練習や思考した努力が、単純にプレイに表れます。また、PC があれば、いつどこでも練習できるので、環境にもあまり左右されません。ですから、「誰もが主人公」が僕たちの目標です。

主に競技として取り組んでいるゲームは「バロラント」や「ロケットリーグ」、「ぷよぷよ」などです。「ロケットリーグ」であれば、年に 4 回大会があり、3 人が 1 チームで出場します。

大会に出る時は役割が分かれますが、それをゲームでは「キャラ」といいます。周囲が見えているメンバーは司令塔的なキャラを選んだり、エイム(敵に照準を合わせて倒す)が得意なメンバーは攻撃力が高いキャラを選んだりと分担します。キャラによって得意な部分をさらに伸ばし、不得意な部分を補うことができるのも、e スポーツならではの良さなのでは。

また、競技として以前からあるスポーツとは違い、e スポーツは 3 年単位で種目などが切り替わるので、基本となる論理的な考え方ができる人が、柔軟に対応して練習時間を積むことで、実績を残すのではないかと思います。

勝つために個々の技能も必要ですが、頭で考えて戦略を練る部分の比重が大きいことだと思います。チーム内の息を合わせないと勝てない難しさや面白さがあり、「この戦略の方がいいのでは」と、仲間と考えがぶつかることも度々あります。大会によっては、個人の力で勝てる種目もありますが、味方のフォローが大切な種目も多いのです。

1 人でもゲームはできますが、部活動では仲間と一緒に取り組んでいる楽しさがあります。部員は学年に関わらず仲が良く、帰ってからも、また一緒にオンラインゲームをしているメンバーもいます。

—木全くんの将来の目標を教えてください。

僕は ICT エンジニア(データベースやネットワークなどの設計や構築を行うエンジニア)になりたいという夢があり、この学校に入りました。進路は進学を希望しています。前任の顧問の先生から、「コンピュータ制御部に入ったら、情報技術検定や計算技術検定、IT パスポート試験などの資格試験の勉強もできる」と聞き、部活に入り、資格を取得しました。これからも将来に向けて、勉強を頑張っていきたいです。

左から、2021 年「ぷよぷよフューチャーカップ」第 2 回大会優勝チームのメンバーである實井湊音(じつい みなと)くん、藤城雅美ジュニアくん、保科拓見くん、副部長で「ロケットリーグ」が得意な中西翔天(なかにし しょうま)くん、「ロケットリーグ」や「バロラント」が上手な永田蒼空(ながたそうあ)くん、部長の木全陸くん

ブロックプログラミングの実習で使う高性能なレゴロボットが部室に並ぶ。夏には、中部大学で開催される「LEGO ロボットコンテスト(WRO Japan 東海地区予選会)高校生部門」も控える

 

部室では部員が学年を問わず一緒にテスト勉強をしたり、資格の勉強をすることもある

 

 

卒業後の就職先について考えていること

全体としては、卒業後に就職する生徒が多いという小牧工科高等学校。進路に就職を選んでいる 2 名の部員からもお話を聞きました。

自己紹介と、希望する就職先について教えてください。

環境科学科 3 年保科拓見(ほしな たくみ)です。部活動では、メインで「エイペックス レジェンズ」に取り組んでいて、これまでに 1800 時間やり込みました(笑)。部員のメンバーとはめちゃくちゃ仲が良く、帰宅してからも「ディスコード」というゲームに特化したコミュニティアプリで通話するなど、ずっと一緒にいるような感覚です。

僕は部員の中で唯一、環境科学科に在籍して、地球や宇宙、SDGs などに関することについて勉強しています。学んだことを活かし、就職先は、環境改善に寄与できるような会社を希望しています。雰囲気としては。コミュニケーションが取りやすく、アットホームで皆さんと仲良くできるような会社だと嬉しいです。特に、小牧市の地元から出たいとは思いませんが、一人暮らしをしてみたいので、実家とは程よい距離で、帰省しやすい勤務地だといいなと思います。

自転車に乗ることも趣味の一つだという、環境科学科 3 年の保科拓見くん。中学時代の友達とサイクリングに出かけ、小牧山や桃太郎神社などのきれい な風景を写真に収めている

 

情報デザイン科の藤城雅美(ふじしろ まさみ)ジュニアです。日本人とフィリピン人の両親を持つハーフです。部活動では、「バトルフィールド」や FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)系と、VR(バーチャル・リアリティ)ゲームに取り組んでいます。VR の世界観が好きで、プライベートでも VR のゲームワールドで会話したり、イベントに参加したりしています。就職先は、情報デザインという所属科にとらわれず、様々な企業を見て考えたいと思っています。できれば、自分が好きな VR やメタバース(仮想空間)関係が希望です。

勤務地に関しては、県内外を問わず就職活動をするつもりです。離島でなくインフラが整っていれば、どこでも働けるのではないかなと思います。以前、企業の職場説明会に参加しましたが、今年は 3 年生なので、実際の職場を見学して、雰囲気などを体感して決められたらいいなと思います。

情報デザイン科の藤城雅美ジュニアくん。ゲーム以外の趣味は、学園ものやミステリー系の小説を読むこと。おいしいものが好きで、部員同士で食事に行くと、「大人になったらこういうお店でお酒を飲みたいね」と話すこともある

 

2021 年の「ぷよぷよ フューチャーカップ」第 2 回大会優勝時の表彰状

 

 

一人一人が考える、e スポーツに取り組む意義

現顧問にもお話を聞きました。

—コンピュータ制御部の活動を、どのように見守っていますか。

私は前任の先生から引き継ぎ、顧問になって 1 年ですが、生徒たちが部活動でとてもイキイキしていることを嬉しく思います。授業中は眠そうで、話を聞いていないのかな?と思えた生徒も、ここではよく話して活発です(笑)。みんな、部活動が好きなんだなと感じます。

2026 年に開かれるアジア競技大会に向けて、県が e スポーツにも力を入れていることもあり、今年度は、愛知県の公立高校でも e スポーツ部が増えており、注目度の高まりを感じます。

2021 年の「ぷよぷよフューチャーカップ」第 2 回大会優勝によって、本校も知名度が上がりました。現在も当時のメンバー2 名が新 3 年生として残っていて、みんなで練習を頑張っているので、今後にも期待しています。大きな目標としては、ぷよぷよの国体(全国都道府県対抗 e スポーツ選手権)の県代表になって、勝ち抜いて欲しいですね。

—スポンサー企業様の協賛を受けて、コンピュータ制御部 e スポーツ班が変化したところはありますか。

「ゲームの部活動」ということで、完全に賛同する人ばかりとはいかない風潮の中で、市内の企業様からご支援いただいているということは大変心強く、感謝ばかりです。完成した T シャツが届いた時は、みんなとても喜んでいました。生徒たちは、家庭で親御さんに対しても、堂々と振る舞える面があるのではないかと思います。

e スポーツに取り組む意義を考え、目標を持つようにと、日頃から生徒たちに話しています。

昨年は企業様のご協力もあり、コンピュータ制御部がこまきこども未来館へ出向き、小中学生や幼児に向けて、e スポーツの広報活動を行いました。こういった活動を通して、市民の皆さんにも、e スポーツや小牧工科高等学校への興味を持っていただけたら嬉しいです。

部室には目標とする大会のポスターが掲示されている

ネクタイかリボン、スラックスかスカート、夏はセーラーかシャツなど、自由に選べるタイプの制服に変更し、多様化に対応

1969 年に愛知県立小牧工業高等学校として開校し、2021 年 4 月に改称

 

 所在地

〒485-0003 愛知県小牧市久保一色3737-1

TEL(0568)77-6275 FAX(0568)75-7609

 Webサイト URL
愛知県立小牧工科高等学校

 

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