保護猫活動の一助にアクリル製キャットタワーを開発│フジカワ化成

保護猫活動の一助にアクリル製キャットタワーを開発│フジカワ化成 Focus
保護猫活動の一助にアクリル製キャットタワーを開発│フジカワ化成

プラスチック素材の加工・製品販売を手掛ける株式会社フジカワ化成。代表の息子である藤川翔太氏のアイデアで、オールアクリル製のキャットタワーを開発した。
アクリル素材の新たな可能性を探りつつ、保護猫の里親という選択肢を世に広めたいと考えているという。
今回のこまき光モノでは、自社の技術を生かした独自ブランド製品に続いて、キャットタワーの製品を企画開発した藤川社長と藤川翔太氏にお話を伺った。

BtoCキャンプ製品から自社開発をスタート

BtoCキャンプ製品の開発から自社開発をスタート│藤川社長と藤川翔太氏

BtoCキャンプ製品から自社開発をスタート│藤川社長と藤川翔太氏

 藤川社長
平成元年に設立した株式会社フジカワ化成は、私で二代目です。これまでは、主にプラスチック加工のプロフェッショナルとして、スーパーや大手雑貨店の陳列棚などの販促什器を製造してきました。

ほかにはエレベーターの警告板や、アクリル水槽、ディスプレイ棚なども手掛けています。

オリジナルブランド「FAW」を立ち上げる

ただ、時代の流れの中で、BtoCの新製品を生み出そうと考え、2023年からはデザイナーと共同でオリジナルのキャンプ用品ブランド「FAW」も立ち上げ、アクリル素材で持ち運びも軽量で安全な「グラスランタンシェード」などの商品を開発しています。

オリジナルブランド「FAW」を立ち上げる

オリジナルのキャンプ用品ブランド「FAW」を立ち上げる│Instagramへリンク

そんな中で「オールアクリル製キャットタワー」は、息子の翔太のアイデアで完全にフジカワ化成独自の製品として生まれたプロダクトです。

保護猫カフェとの出会いからキャットタワーを開発

保護猫カフェとの出会いからキャットタワーを開発│藤川翔太氏

保護猫カフェとの出会いからキャットタワーを開発│藤川翔太氏

 藤川翔太氏
「オールアクリル製キャットタワー」誕生の経緯は、開発者である僕からお話しします。

僕の前職は不動産会社の営業担当者でした。実は社会人1年目である22歳の頃、自分では「しゃべりがうまいから、絶対すごい営業マンになれるぞ!」と思っていたんです。

稼ぐつもりで入社したので、まもなく、自分の営業成績が振るわず、話も全然うまくないという事実に打ちのめされました。社会の厳しさに揉まれ、通院して点滴を打ちながら、なんとか仕事を続けていたんです。毎日が負のスパイラルのように感じていました。

そんな風に心が荒んでいたある時、ふらりと、春日井市にある猫カフェに入りました。偶然ですが、そのカフェは「保護猫カフェ」だったんです。

保護猫たちの実情を知り共感

僕はそれまで「保護猫」という言葉も知らなかったので、「猫たちに癒される……」とだけ思っていました。でも通ううちに「保護猫」とは飼い主に捨てられるなどして劣悪な環境に置かれ、自治体や民間施設に保護された猫だということをお店の方から聞きました。

その時に、人が無責任に飼って、捨てられてしまう猫もいるという事実に衝撃を受けました。保護猫たちは、ダニだらけの酷い環境で病気にかかり、目も開かない状態で保護され、ほかの猫と共同生活をすることになります。最初は心を閉ざしている猫も多いそうです。

でも病気が治り、保護猫カフェにデビューして、スタッフさんやお客さんと触れ合ううちに、心も元気になっていくそうです。

保護猫と自身の立場を重ねる

また「保護猫カフェ」の大きな目的は、保護猫が新しい飼い主さんに譲渡されて幸せに暮らすことです。僕はその一連の流れを知り、とても温かい気持ちになりました。

健気な猫たちと触れ合ううちに癒されながら、「猫たちは過酷な環境を生き抜いて元気になった。僕も今の営業という立場で頑張ろう」と考え、社会人として自分が成長していくのを感じました。

そして、猫たちに触発されて前向きになり、なんとか6年間、営業の仕事に従事することができました。

保護猫との関わりからキャットタワーを製品化

保護猫との関わりからキャットタワーを製品化│ねこカフェNew Jpurney代表の吉田氏と

保護猫との関わりからキャットタワーを製品化│ねこカフェNew Journeyの吉田代表と

その頃、社長から「デザイナーと一緒にキャンプ用品の自社ブランドを立ち上げたので、マーケティングやSNSも強化したい。営業担当として会社に入ってくれないか」と誘われて嬉しく思い、入社しました。

そしてフジカワ化成の営業担当として働きながらも「あの時自分の心を支えてくれた保護猫に、何か恩返しできないか」とずっと考えていました。

保護猫が世間からフォーカスされて、保護猫の譲渡が、猫を飼いたいと考える人の選択肢の一つになれば……という思いが常にありました。

自社技術を生かし保護猫活動・社会貢献、製品化へチャレンジ

自社の技術を生かし保護猫活動・社会貢献│キャットタワーと猫たち

自社技術を生かし保護猫活動・社会貢献、製品化へチャレンジ

そして、フジカワ化成のモノづくりの視点で、アクリル素材と職人の技術を使って、保護猫が世間から注目されるようなBtoC製品を作ることができないか。

自分の好きなことを活かしながら、社会貢献できるような製品を……と考え、この「オールアクリル製キャットタワー」がひらめきました。

自社独自の開発には不安も

キャンプ用品の開発にはデザイナーが関わっています。フジカワ化成独自の製品としてモノを開発し、売り出していくという経験はなく、不安もありました。

しかし、社長や社員の皆さんにこの案を話してみると・・・

「全部が透明のアクリル製キャットタワーは聞いたことがない。猫の動きがどこからでもわかるし、下から見上げたら肉球まで見えるなんて、いいアイデアじゃないか」と賛成してくれ、チャレンジすることに。こうして、製品化することになりました。

現代の住宅事情に合わせたコンパクトな組み立て式

リサーチによると、猫を飼われている方は、持ち家より賃貸物件の方が多いようです。また、戸建てでも狭小住宅が増えていると思いますが、コンパクトな組み立て式の「オールアクリル製キャットタワー」であれば場所を取らず、搬出入も心配ありません。

現代の住宅事情に合わせたコンパクトな組み立て式

現代の住宅事情に合わせたコンパクトな組み立て式のキャットタワー

しかし、組み立ての大変さは時にネックになると思います。そして女性の一人暮らしの方ですと、ドライバーなどの工具が揃っているとは限りません。

「オールアクリル製キャットタワー」は脚がねじ式になっていて、くるくると回して簡単に取り外しができます。また、本来の使い方をしなくなったら、普通にサイドテーブルとして使っていただいても結構です。

アクリルには厚みがあり、耐熱性もありますから、コーヒーカップなどを置いていただいても問題ありません。対荷重は10kgで猫は10匹が乗っても大丈夫です。

長くいろいろな用途で使ってもらいたい

長くいろいろな用途で使ってもらいたい│裏からも見える肉球をiPhoneで撮影

長くいろいろな用途で使ってもらいたい│真下から猫の肉球を撮影

また、透明の「オールアクリル製キャットタワー」は、ほかのインテリアの色や雰囲気を邪魔せずマッチするのもいいところです。使い捨てにするキャットタワーを買うよりも、気に入ったアイテムを長く、色々な用途で使ってもらいたいというのも、僕たちの思いです。

キャットタワーとして使わないときはお子様のテーブルなどにもお使いいただけます。

 

「オールアクリル製キャットタワー」1人目の購入者である、agu_gen.mama .さん。
インスタグラムで1.1万人のフォロワーを持ち、キャットグッズレビューや
猫ちゃんのかわいい日常を投稿されています。
タワーの使用感については、組み立てが簡単であること、部屋に馴染みやすくて圧迫感がないなどの点を評価されている。
なんといっても・・・「愛猫の肉球が眺め放題!」という点も大きな評価ポイントということです。
インフルエンサーagu_gen.mama .さんのレビュー

インフルエンサーagu_gen.mama .さんのレビュー

画像クリックで、agu_gen.mama .さんのInstagramリール動画を見ることができます。

お世話になった保護猫カフェに寄贈して耐久性をテスト

2024年に「オールアクリル製キャットタワー」の第1号が完成しました。そこで、お世話になっているネコカフェ「ニュージャーニー」様に連絡を取り、「オールアクリル製キャットタワー」を寄贈してお客さんの反応を見ながら耐久性をテストをさせていただき、フィードバックをいただくという計画を伝えました。もちろん、最終的には保護猫の認知を広げるという目標があることもお話しています。

するとオーナーの吉田夫妻は喜んでくださり、「自分たちにご協力できることならぜひ」と快諾していただけました。お店には6月から置いていただいていますが、猫たちに人気です。また、オーナー夫妻からは今も継続的に「もっとこうしたらいいんじゃないか」「こんな新商品を作ったらどう?」といったアドバイスをいただいています。

当初は、使用にあたってどれくらい傷がつくかなどもわからなかったので、心配もしていましたが、現在のところ、猫たちはいつも集まって遊んでいて、お客さんからの反応も上々です。

「支柱まで透明なので、猫がどこにいても写真が撮りやすい」「ご飯を食べているところが見やすい」といった声をいただいています。

猫カフェのお客様からの声も取り入れ

アクリル素材は、100円均一ショップなどで小物を目にすることがある一般的なものと思います。しかし、こんなに大きいものは売っていないと思います。だから、サイズ感や重量感、頑丈さなども、お客さんに実際に見ていただければと思います。

実際の保護猫カフェで使っていただいていることで、お客さんから新しい発想が出てきたのは嬉しい誤算でした。

たとえば、「一部だけマットを敷いても可愛い」「縁に好みのマスキングテープを貼りたい」「途中の段にカゴを置いて、猫が入ったら上から覗いてみたい」といった内容です。使い方の可能性が広がりました。

ねこカフェ「New Journey(ニュージャーニー)」について

ねこカフェNewJourney
保護ねこカフェ
  • 定休日: 月曜日(営業時間はWebサイトを参照のこと)
  • システム:30分880円(ワンドリンク付き)、以降30分毎に+330円。小学生から入場可。
  • 住所 : 春日井市高山町3-17-13
ねこカフェ「New Journey(ニュージャーニー)」

ねこカフェ「New Journey(ニュージャーニー)」

2017年、春日井市内にオープン。オーナー夫妻と縁のある恵那保健所にいた保護猫が、ナチュラル基調の店内に40匹ほど在籍してお出迎え。「オールアクリル製キャットタワー」で遊ぶ可愛らしい様子も見られる。

現在、猫カフェデビューを待つ猫たちを合わせると80匹ほどが新しい家族を待っており、猫の情報はSNSでも発信。譲渡には保護活動の協力金のみで生体への費用はかからないが、いくつかの条件がある。

必要とされる場へ届け保護猫活動に寄与したい

これまでに「オールアクリル製キャットタワー」は、「ニュージャーニー」さんとコラボレーションして、限定1台のみ抽選販売しました。

まず消費者の皆さんの反応を見たかったので、Instagramで発信して購入希望の方を募ったところ、予想以上の応募があり嬉しく思いました。そして、猫への思い入れがあり、こういったキャットタワーを必要としている人がいるんだなと感じました。

必要とされる場へ届け保護猫活動に寄与したい

必要とされる場へ届け保護猫活動に寄与したい│キャットタワーの上に座る猫

この時に購入された方は猫を4匹ほど飼われていて、インターネットで猫についての配信もされている方でした。購入後の配信を見たら、この「オールアクリル製キャットタワー」を、おしゃれな雰囲気で活用していただいていました。

1番下が4本足で、次が3本足というバランス性。これはデザイン性のほか、職人目線の安定性と、猫が楽しめるようにという工夫です。

社会貢献に自社のモノ作りで関わりたい

次のフェーズとしては、年内に小牧市の「ふるさと納税」の返礼品として登録されます。

単に一般販売を開始するのではなく、保護猫活動の一助になるような工夫をしたい。そして共感してくれる人が見てくれて、応援してくれれば、保護猫活動も広まるのではないかと考えています。

この「オールアクリル製キャットタワー」は、「とにかくたくさん売ろう」「これで会社を大きくするぞ」ということを第一に考えているわけではありません。

必要な人に届ける過程で、これから猫を飼いたい人に「保護猫の里親になる」という選択肢が広まってほしいと考えています。そういった社会貢献の中に、自分たちのモノ作りが関わっていれば嬉しいなという気持ちです。

アクリルの可能性を模索し人に寄り添う製品を

アクリルの可能性を模索し人に寄り添う製品を│藤川貴弘代表

アクリルの可能性を模索し人に寄り添う製品を│藤川貴弘代表

 藤川社長
会社としては、BtoB事業は比較的安定しているので、BtoCの部分を強化していきたいと考えています。アクリル製品にはまだまだ可能性がありますから、長く使えるいいものを作っていきたい。環境問題にも、耐久性と汎用性の面で寄与していきたいと思います。

オリジナルのキャンプ用品ブランド「FAW」についても、引き続き新商品を考えていきます。コロナ禍が収束し、キャンプブームがひと段落した今、新規層の一部が定着していくのではないかと思います。

逼迫している社会で、自然の中でおいしいご飯を食べたり、話すことがあったりというのは大事なこと。コミュニケーションのツールという面で、キャンプはこれからも盛り上がっていくのではないかなと思います。

お気に入りのグラスに被せるだけでランタンシェーになる「FAW」の「グラスランタンシェード」

どんな売り方をしていくかが大事に

また、「オールアクリル製キャットタワー」を皮切りに、例えば爬虫類や魚類の水槽など、新たなペット商品を展開していけるといいですね。

ただ、今の時代、メーカーがモノを作って売ること自体はありふれていますから、「どんな売り方をしていくか」が大事になってくると思っています。

今後も人に寄り添える製品を作っていきたいですね。

【株式会社 フジカワ化成 会社所在地】

小牧市大字舟津字大坪1149-1

アクリル板のカラー見本
アクリル板にカンナをかけて削る職人の様子
アクリル板の加工
フジカワ化成の三世代 で撮影
 【コーポレートサイトURL】
プラスチック加工製品の製造・販売|株式会社 フジカワ化成
愛知県小牧市のプラスチック加工会社、フジカワ化成です。1個からでも加工のご注文を承ります。アクリル板、アクリルケースなどの加工製品のオーダー販売もしています。
 【代表者】

代表取締役 藤川 貴弘

 【事業内容】
  • プラスチック板販売
  • プラスチック加工販売
  • プラスチック製品販売

 

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