ばね製造機と協働ロボット事業の両輪で、これからの100年へ

製造業

 

小牧市下小針中島にあるモリタアンドカンパニーは、創業100年を超える老舗のばね製造設備メーカーだ。2023年5月、商社出身の兼廣明生氏が代表者取締役社長に就任。30歳の新社長は、新規事業である協働ロボットの開発に着手し、ばね製造機との両輪で次の100年を見据える。現在の取り組みや思いを、兼廣明生代表者取締役社長にインタビューした

兼廣明生代表者取締役社長(30歳)。1993年生まれ、山口大学経済学部卒業。2017年に双日株式会社に入社し、海外営業・事業投資・事業開発に従事。事業継承先企業を探す中でモリタアンドカンパニーの成長ポテンシャルに惹かれ、2022年10月に事業継承。2023年5月に代表取締役に就任。モリタアンドカンパニーでの最新の取り組み情報等をnote(リンクは下に記載)にて配信中。

蓄積されたノウハウと実直な仕事ぶりを継承

−まず小牧市の印象と、代表取締役着任時の思い、そして現在変化したと感じる部分を教えてください。

小牧市はやはり、物流の拠点であり、製造業の長年の蓄積があると感じられる土地ですね。着任時の印象については、社員の皆さんがとても真面目で、純粋に仕事に取り組んでいるというのが率直な感想で、それは今も変わりません。お客さまの要望に応えられるような提案や、製品づくりを実践している人が非常に多いと感じています。先代が本当に社員の皆さんのことをお考えになり、様々な取り組みをされてきたものを引き継いだので、良いところを活かしながら経営したいと、身が引き締まりました。

一方、1年が経過して変化した部分は、元からの実直さに加えて、リーダーシップを発揮して、部署間の連携や部署内のマネジメントを頑張ってくれる現場リーダーが少しずつ出始めていることです。

−現在、自社の強みをどのように分析していますか。

専用機、特にばね製造機械の領域で長年お客さまとの関係性や独自の設計・製造のノウハウが最大の強みだと考えています。これは先代までの社長や社員の皆さんが築き上げてきたものであり、今後も大切にすると共に、更に良いものにしていきたいです。
また、お客さまには、産業用ロボットを組み合わせたライン設備一式をお納めすることも多く、ロボットシステムのインテグレーションに知見があることも特徴だと思います。

 

可能性と使命感から協働ロボット事業へ乗り出す

−新規事業として協働ロボット領域を選んだ理由は。

自分たちの強みを生かせる可能性が仮説としては担保されているからです。先ほどもお話ししたように、当社はこれまで、産業ロボットを活用した自働化システムを作ってきましたので、そのノウハウが会社としてあります。人と共に働く協働ロボットは比較的新しいプロダクトですが、基本的には、お客さまの作業工程を自動化するというものなので、活かせる知見が大いにあるだろうと思いました。

−協働ロボット市場をどのように捉えていますか。

業界内では、まだロボットを導入したことがない企業さまが導入に躊躇する「1台目の壁」があると言われており、実際に事業を立ち上げていく中で、私もそのような感覚を持っています。
ただ逆に、こういった市場環境だからこそ、チャレンジングで面白いと考えています。お客さまや市場のニーズを汲み取り協働ロボットを普及させられれば、人手不足と言われる日本において社会に与えられるインパクトが大きいと思います。
協働ロボットの良さは、例えば資材を運んだり、投入したりといった、これまで人の手で行っていた作業を、置き換えられるところです。人員削減のためというよりは、1人がマルチタスクでこなしていた作業の一部を担うことで、作業者をラクにしてあげられます。そして空いた時間は、人間的で創造的な活動に充てて、有効に使うことができるのです。
また、もちろん日本国内だけではなく、海外でもその需要はありますので、中長期的には海外へのチャレンジも必須だと考えています。

−事業パートナーについてのお考えは。

協働ロボットのアーム単体ではお客さまのニーズに応えることはできません。必ず、ロボットアームに付けるハンド、その他付帯設備等が必要になり、お客さまのニーズによって仕様はかなり異なります。
やはり、自社で全てをカバーすることは難しいので、例えば、ロボットハンドのメーカーさんと提携するなど、仕入れ先との関係を強化し、お客さまの様々なニーズに対応してご提案できるようにしようと取り組んでいます。新しい価値を提供するためには、自前にこだわらず、国内外を問わず組んでいきたいですね。

−既存事業の専用機事業との相乗効果は。

専用機を使った自働化システムの中でも協働ロボットを使用することができますから、直接的な相乗効果があります。実は、ある大手日系企業様からは既に受注を頂いています。今後は我々としても、より協働ロボットへの理解の幅を広げ、ご提案をしていきたいと思っています。

1人1人がリーダーシップを発揮しボトムアップ

−社員の皆さんへの意識改革の工夫は。

常に話しているのは、「皆さん1人1人がリーダーです」ということです。特に管理職の人たちに対しては、部署間で連携して、リーダーシップやオーナーシップを持って進めてほしいと、ずっと言い続けています。

なぜこのような方針を採っているかというと、直近の事業運営だけでなく長期的に見ても、これが最適解だと考えているからです。
先ず、正直に申し上げると、そもそも僕自身は、機械の細かい部分は中々理解できていません。また、それは、営業、マーケティング部、財務経理などの仕事についても同様です。つまり、今の仕事を回すうえでも、各領域のプロフェッショナルである社員の皆さんに高いパフォーマンスを発揮してもらう必要があります。
加えて、大きなビジョンを達成するためには長い年月がかかり、多くの方の協力が必要ですので、組織の中に沢山のリーダー、リーダー候補がいる状態を目指しています。
「はやく行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければみんなで進め」という格言もありますが、僕の場合は、「早く行きたくても遠くまで行きたくても、みんなで進め」と言うような感じです。(笑)

−具体的に仕事のやり方を改善した部分は。

時間軸を引き直すというか、会社としての成長速度を上げることを考え、その方針を社員の皆さんに伝えました。専用機の需要は、お客さまの設備投資に左右されますから波はありますが、一定量を維持してベースとなる収益を確保し継続的に成長させつつ、新事業の方も成長させていく。その2つにより、短期間で、定量的にもある程度の水準まで高めていきたい。そのためには、会社としての今期の売上目標がいくらで来期はいくら、その次は…‥と先々の目標を設定しています。

社長室をなくしたことも一つの大きな変更点かもしれないです。専用の部屋があると、社員の皆さんとコミュニケーションが減ってしまいますし、新参者の僕には会社の雰囲気も掴みづらいと思ったので、皆さんと同じフロアで仕事をしています。時にはプライベートな報告をしてくれる人もいて、フラットな距離感だと思います。

僕は入社直後とその3ヵ月後に、全員と個人面談を行いました。履歴書を見てその人の特徴や背景を頭に入れた上で、一対一で、今考えていることなどを聞き、僕からも話しました。

基本的には毎日工場にも行きますし、挨拶して声をかけたり、立ち話したりというコミュニケーションは、日常的にとっています。飲み会もしますし、先日は社員の皆さんとバス旅行に行きました。その中で、仕事に関係のあることもないこともみんなで喋りましたね。そういったフラットな交流は大切だと考えています。

毎朝4時に起きてジムに行き、30分ほど体を動かしてから出社するのが兼廣社長のルーティン。プライベートでは2児の父。

社員一人ひとりの人生を豊かにしていく

−最後に、会社経営をする上で念頭に置いている思いを教えてください。

僕は、「家族や社員の皆さんのような直接的に関われる人たちと一緒に人生を豊かなものにしていき、その結果、社会全体をより豊かなものにしていく」ということにフォーカスしていて、それを一番大切なことだと思っています。

特に会社運営においては、社員の皆さんに「人生が豊かになっている」という感覚を持ってもらうことを大切にしています。なぜなら、月並みな表現ですが、その先に、お客さまの満足や会社としての社会的価値があると考えるからです。
きれい事のようにも聞こえますが、我が子など誰に聞かれても同じように答えているほど、真剣にそう考えています。

自社の専用機製造技術で削り出した、COBOT (協働ロボット)LABの表札

会社所在地

〒485-0051 愛知県小牧市下小針中島1-200

 Webサイト URL
株式会社モリタアンドカンパニー/Morita & Company
モリタアンドカンパニーは、愛知県小牧市のばね機械・バネ設備製造メーカーです。

モリタアンドカンパニーでの最新の取り組み情報等をnoteにて配信中
https://note.com/morita_and_co

 代表者

代表取締役社長 兼廣 明生

 事業内容
専用機の設計・製造販売
・ばね製造機械(熱間コイルばね製造機械、冷間コイルばね製造機械、板ばね製造機械、スタビライザーバー製造機械)
・電気電子部品製造機械
・航空機部品製造機械
・樹脂製梱包材製造機械
・その他各種専用機
工業製品の輸入販売
・その他各種専用機
・台湾SIMCO社製機械

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