造園家を輝かせる、庭に関する情報発信と交流の場/株式会社竹籐商店

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砂利などの庭園やエクステリアなら造園資材館
砂利などの庭園やエクステリア資材の通販・卸販売をお探しなら愛知県小牧市にお店を構える創業100年を超える造園資材館へ。日本各地からプロの造園家の皆様ご満足頂ける創造力を刺激する品揃え、他を圧倒する在庫量、世界屈指の造園用石材ヤードです。

 

造園家を輝かせる、庭に関する情報発信と交流の場

造園資材卸売業の竹藤(たけとう)商店は、今年6月、小牧市小牧原新田にある本社敷地内に「スモールハウス付きの庭」をコンセプトとする展示場「マテリバ」 をオープンした。「庭付き一戸建て住宅を建てるのではなく、庭の中に生活に必要最小限の家を建てる」という発想だという。その意図を、秦野利基代表取締役社長に取材した。

今年で創業 111 年目となる竹藤商店。秦野利基社長は4代目にあたる

竹材で昭和の住宅産業を支えた後、造園資材卸売業へ

造園資材の流通により造園・エクステリア業界に貢献することが、私たちの主な業務内容です。大正元年に、曽祖父の秦野藤十(とうじゅう)が竹屋として創業した会社なので 「竹藤商店」という名が付いています。

竹は成長が早い優良な資源です。約100年前には、小牧市の大草や春日井市の坂下、犬山市の羽黒など、この辺りに竹の産地が多くありました。曽祖父達はそこから竹を伐り出して、建築用の下地材料として名古屋の市場に販売していました。 当時は、木の柱に竹を十字に組んで土壁を造る在来工法の木造住宅ばかりでしたから、竹を供給することで住宅産業を支えていました。まだプラスチックなどはなく、籠や簾などあらゆるものに竹が使われていた時代でした。


小牧市大草

現在も青竹のほか、竹垣や竹籠なども取り扱う

昭和30〜40 年代に建築ブームが起こり、この辺りの産地では需要に追いつかず、九州を中心に、四国や中国地方からも竹を買い付け、中部から関東へ拡販するようになりました。昭和 40〜45 年にかけては、真竹の花が一斉に開花し全国的に竹が枯れるという事態が発生しました。通常、竹は60年か120年の周期に一度花をつけるといわれるのですが、その時期がやってきたのです。そこで、県内の竹材業者が集まり話し合い、日本とは開花時期がずれていた台湾から竹を購入することを決断、その時に「台湾には見慣れない石材もあるぞ」ということがわかり、竹の他に庭石などを次々に買い付けるようになりました。それが、竹藤商店が造園資材の卸売へシフトするきっかけとなりました。

時代の流れとともに建築はプレハブ工法が普及し、ライフスタイルの洋風化と合わせ、土壁を作って和室を設ける方も少なくなっていきました。竹が売れない時代に突入し、代わりに石材や肥料や土壌改良剤のような造園材料を手がけることになったのは、自然な流れだったのかもしれません。昭和47年に「造園資材総合卸売センター」として、200mほど離れた現在の場所に移転し、主力を竹から造園資材に移しました。現在、 創業から111 年目になりますが、前半の60年は竹、後半は造園資材を柱として社業を展開してきました。

六角形に割れた中国産の大型の「六方石」は、門柱などに使用される

アーティストである造園家のこだわりに応える

私たちのお客様は造園家さんです。企業理念にも掲げていますが、お客様のこだわりにいかに応えるかを社是としています。造園家の皆様は「アーティスト」で、それぞれ色々な思いを持ってお庭を造られています。感度の高い方たちの「こんな材料はない?」というニーズに対して、どのように応えられるかを常に考えて、お気に召すものを提供するように努めてきました。今では輸入先も多岐に渡り、東南アジアやインド、北米や南米、オーストラリア、ニュージーランドから、ヨーロッパもイタリア中心に、イギリスやベルギーからも資材を輸入し、日本にはない魅力的な商材をお客様に提供しています。

イギリス産のノーブルストーン

インド産の「ヴィスタストーン白御影 全面割肌仕上げ」は、花崗岩の特性で焼けた跡が模様を作っている

国内の有名公共施設にも採用された石材

現在は建築費用が高騰している背景もあり、造園用建築資材の販売には難しさもありますが、一方でリフォーム業界は伸びているので、例えば、ガーデンリフォームなどにいかに興味を持ってもらうかが大切だと思っています。幸いにも、当社の造園資材は様々な公共工事でも使っていただいています。最近では、昨年長久手市に開業した「ジブリパーク」に、イタリア産の石材を採用していただきました。約600トンの石材を輸入し、ようやく納入が完了したところです。こういった大きな施設では、世界観を表すために、どの場所にどんな資材を使うかは考え抜かれているものですが、多様なニーズに応えられているのも当社の強みです。

ベルギーの古い車の道路に敷かれていた石材「スヴェリエストーン」はヴィンテージ感が魅力

玄関のアプローチやテラスなどに使われることが多いブラジル産のクォーツストーン

味のあるイギリスの砂岩「ウインザストーン」

既存の枠を取り払い、独自の展示場から情報発信

バブル以降、国内の景気は停滞し、最近では人口も減っています。昨今は、ライフスタイルも大きく変わり、庭のある家に住むことが当たり前の時代ではなくなり、「過去と同じ状態にしがみついていたら、会社が沈んでしまうのではないか」という危機感を強く感じます。そこで、これまでの造園資材卸売業としての経験を活かしながらも事業の立ち位置を少し変えることで、今後の業界の発展に寄与することができることはないかと考え、昨年、事業再構築補助金を利用してトライしたのが、「スモールハウス付きの庭」 をコンセプトとする展示場「マテリバ」の開業でした。

これまでは材料の卸売りに特化してきましたが、「庭のある暮らし」を広く発信することにより「庭」の価値を高め、当社のお客様である造園家が活躍するステージを広げていきたいと考えています。卸売りは、産地とお施主様の中間の立ち位置ですが、様々なネットワークがございます。そのネットワークを最大限活かすことにより、市場環境をより良くしていこうという試みです。そのため、本事業は私たちが単独で行うものではなく、仕入れ先やお客様である造園家の皆様と一体になって行っていく事業ととらえています。

スペイン産の「アルデシアネロ」など、様々な石が使われている展示場「マテリバ」。足元を眺めながら歩くのも楽しい

もう一つの理由として、コロナ禍を経て、一般の方がアウトドアを始めたり庭にテントを張ったりして過ごすなど、自然に目を向ける流れが出てきたことも大きいですね。そこで、一般の方にもご提案できるような展示場を設けたいと考えました。

アクティブな暮らしを提案する「第1スモールハウス」

屋外との繋がりを感じる、オープンな「第1スモールハウス」の室内

令和の若手の造園家を中心に、新たな考え方や動きも

ちょうど令和に入った頃から、若手の造園家の皆様による新たな動きがありました。近郊では静岡市や浜松市、そして京都府や奈良県でも、地元の有志の集まりで「坪庭展」 が企画され、開催されるようになってきたのです。「坪庭」とは 1.8m×1.8mの小さな世界ですが、例えば10人の造園家が集まれば、「庭にはこんな造り方があるんだ」「小さな面積でも楽しめるんだな」ということを発信することができるんですね。当社は、普段からお世話になっている造園家の皆様からお声掛けをいただき、各地で開催される「坪庭展」を支援する機会をいただきました。毎回出展される創造力にあふれた作品は素晴らしく、多くの方々に見ていただきたい、楽しんでいただきたいと思うようになりました。そんな動きが全国各地に広がっていくことを願うばかりです。

また、コロナ前に開催していた「造園家と建築家の交流会」も、一つの転機になりました。「造園」というと、建築家が建物を建てた後の残りのスペースでお庭を造る、下請け業者のような位置づけになってしまっています。交流会で、ある造園家の方が「戦前までは、施主さんと神主さんと庭師、大工が集まって家を作った。どの方角に玄関があって、水場や台所があって、風が抜けるからここに窓を作って、庭はこの場所にこの木を植えて…と、庭を含めて考えていた」と提言されて、皆がそれぞれに賛同した時がありました。造園家達の「想い」を垣間見て、造園は建築の残りものではないと改めて感じた出来事でした。その時私の中に、「家を中心にするのではなく、お庭を中心に建物を考える」というスタイルがあってもいいんじゃないかと、逆転の発想が生まれたのです。

スモールハウスの傍に造られた小川のせせらぎに心癒される

もっと庭での暮らし方や庭の使い方を広めていく必要があると思いましたが、 そういった活動を積極的に展開している会社があまり見当たりません。そこで、「自分たちがやろう」と展示場を作るに至りました。事業再構築補助金には、2度目のチャレンジにて採択されました。ところが事務局は、「展示場の建築物に補助金は出るが、庭を含めた周囲の外構工事は補助金の対象外です」というのです。「庭のある暮らし」という事業名称で採択されたにも関わらず、庭自体に補助金が出ないというのは、「庭の価値」を政府側も理解もしていないのだと痛感しました。

例えば建築の環境性能に関しては何年か前にはエコポイントがあり、太陽光パネルや蓄電設備にも多くの補助がありますが、緑やお庭はそうではありません。緑のスペースを増やすことは住宅性能以上に重要なのではないかと思うのですが、それを論点に、「緑がある暮らしが人にとって幸せだ」と主張したつもりでしたが、これが庭に対する評価なのかと妙に納得してしまいました。

お庭が何のためにあるのかと考えてみると、やはり人々が「幸せに暮らすため」 だと思います。自然とコミュニケーションを取り、五感を使いながら、潤いのある生活を送るためにも大切な存在だと思います。「ガーデンセラピー」という概念がありますが、緑と触れ合える空間が「癒し」の効果をもたらすのです。これまでは、自分たちの仕事は「物を売ることだ」と、自ら枠を作りながら商売をしていましたが、その枠を取り払って、「お庭の価値を造園家のお客様と共に広めていくこと」こそ、私たちの本来の役目なのではないかと気づいたことが、今回新事業に取り組んだきっかけでした。

「風を感じる庭」をテーマにした「ガーデンハウス」

「第2スモールハウス」室内にはスマートなキッチンとダイニングが設らえられている

今回オープンした展示場「マテリバ」は、「庭が中心となるミニマルな暮らし方」 をテーマに掲げ、建築家と造園家、工務店でチームを編成し、これまでにない「庭のある幸せな暮らし」を提案していきます。これまでの造園資材卸売という事業形態からは一般の方との接点が少なかったのですが、「マテリバ」を一般の方と造園関係者とのマッチングの場として成長させていきたいと考えています。

「マテリバ」には、テーマの違う2つのスモールハウスが建っています。3つの小さな建物から成る「ガーデンハウス」は、屋外をリビングルームのようにアクティブに使うことを提案する家です。もう片方は、「風と光を感じる庭」をテーマに、木漏れ日の中を心地よい風が吹き抜け、時間がゆっくりと流れるような雰囲気の、まさに庭の中に住んでいるような感覚を味わえる家です。

それらが建つ周囲に、様々な石を使った石垣やアプローチ、植栽を配し、素敵な空間を表現しました。まだ木を植えたばかりなので、これからますます成長していくお庭だと思っていただきたいですね。今後はマルシェなど楽しいイベントの計画もしています。

ピザ窯があり、アクティブな雰囲気の「第1スモールハウス」には、外から直接入れるシャワー室も完備

これまでも、プロの造園家さんに向けて、イギリスの伝統的な石積み技術の講習会などを自社で開催してきましたが、今後は一般の方向けの講習会にも取り組みたいと思います。単に「資材を売る」ということだけでなく、お庭という世界観を少しでも広めていきたいと考えています。

顧客の造園家に向けて、モルタルなどを使わないイギリスの伝統的な石積み技術「ドライストーンウォーリング」の講習会を実施した

また、私どもの原点は竹屋なので、放置竹林の問題にも取り組み始めたところです。竹林は森林とくらべ、個人が所有していることが多いので、敷地が狭く管理自体が難しい現状があります。行政にとっても手が出しにくいところです。2023年に自社で竹材の粉砕機を購入、小牧市内で放置竹林の整備をしている団体さんに無償で貸し出す事業を始めました。15cmほどの太さの竹を飲み込んでチッパーにする機械です。今後は粉砕による竹の粉を、純度の高いカーボンとして土壌改良剤に利用し、農業や工業の分野から買い取ってもらえるような仕組みができれば、お金を生みながら景観を美化し、SDGsにも繋がるのではないかと考えています。これらの活動もまだスタートしたばかりですが、将来大きな産業になっているとうれしいですね。 自然素材を扱う私たち竹藤商店としては、緑や自然に親しみ、楽しんでいただきながら、生活に潤いを持つ人達を増やしたいと考えています。そして結果的に、持続可能な社会に繋がる取り組みができていればいうことはありません。

城などの文化財の土壁の修復にも使 用される竹。資材庫には乾燥させた青竹が多数保管されている

正月の門松などに使用される竹材

2023年7月の気温は、世界的に過去最高になったと聞きました。緑や自然、お庭に携わる人たちの価値が高まれば、持続可能な社会に近づくことでしょう。そして、皆さんが緑と潤いのある幸せな生活を送ることができれば、私たちとしても本望です。そういったビジョンを思い描いて、新しい事業のスタートを切ったところです。皆様にも是非、私たちの新事業「マテリバ展示場」に足をお運びいただき、「庭のある暮らし」に興味を持っていただければ幸いです。

 会社所在地

〒485-0012 愛知県小牧市小牧原新田1622番地
TEL:0568-77-2321
FAX:0568-77-0117

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 代表者

代表取締役社長 秦野利基

 事業内容
各種造園緑化資材の卸売り・緑化相談及びセミナーの開催・各種関連展示会への出店及び協力

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